日仏の技術を融合して3次元筋線維を生体外で構築 [fr]

 3次元環境下における筋細胞の増殖、集合、収縮を研究するには、3次元筋組織を構築することが課題になります。この新しい手法は、機械的、生化学的、遺伝子的シグナルが筋形成に及ぼす影響の解明につながることが期待されます。

 グルノーブルにあるフランス国立科学研究センター(CNRS)の5628混成研究室(UMR 5628)「材料学・基礎工学ラボ」のトマ・ブドゥー研究員と、大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻の松崎典弥准教授が、日仏交流促進事業「SAKURAプログラム」の枠内で実現したプロジェクトを紹介します。本プロジェクトは生物学、医療、保健分野に属し、2年間にわたって助成金が支給されました。

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研究の概要

 背景と目的

 生体外で筋芽細胞の配向性と3次元組織化を制御し、生体の筋線維に類似の筋線維を構築できれば、再生医療分野の移植材としての応用だけでなく、創薬分野の薬剤効果・毒性試験へ応用できると期待されています。この目的を達成するためには、細胞を3次元的に組織化する技術と、細胞の配向性を制御する技術が重要です。

 私たちの研究室では、細胞表面に細胞接着性タンパク質のナノ薄膜を形成することで、細胞間の接着を誘起し、短時間で3次元組織を構築する手法を開発してきました。パートナーであるフランスのブドゥー研究員のグループは、基板上で細胞が接着する場所を制御し、細胞の配向性を自在に制御する技術を開発しています。そこで両者の技術を融合し、配向筋線維の構築を目的としました。

現時点で得られた成果と、今後期待される効果は?

 結果

 日本側の3次元組織化技術により、筋芽細胞の3次元組織化が可能でした。また、分化誘導を行うことで、ミリメートル以上の筋線維化が可能でした。フランス側の細胞配向技術と融合することで、直径0.2ミリ程度、長さ1センチ程度の3次元配向筋線維を形成できることを見出しました。

 期待される結果

 両国の技術を融合することで、長さ1センチ程度の3次元配向筋線維が作製できました。より技術を高めることで、移植用の筋線維や薬効評価用の筋線維として応用が期待されます。

 効果

 近年、創薬分野において、動物実験を軽減し、代替法を用いることが求められていますが、2次元の細胞単体で生体と同様の応答を評価することは困難です。本プロジェクトで構築された3次元配向筋線維が動物代替として有用であれば、医療産業への貢献が期待されます。

 将来の日仏または国際的な共同研究の可能性

 本プロジェクト終了後も、継続して共同研究を行うことで合意しています。

 プロジェクト期間

 本プロジェクトは、2014年4月から2016年3月まで。

SAKURAプログラムによってもたらされたものは?

 本プロジェクトは日仏両国の42歳以下の若手研究者のみで構成され、双方の博士課程・修士課程の学生が相互に訪問することで、両国の研究と技術的交流だけでなく、文化的交流を行うことができました。また、英語で自ら積極的に意見を述べ、議論を行う経験が身についたため、国際的に活躍できる若手研究者の育成に大変有用でした。

SAKURAプログラムについて

 本プログラムは、フランス側は外務・国際開発省と国民教育・高等教育・研究省、日本側は独立行政法人日本学術振興会の支援を得て、若手研究者間の新たな協力を促進するとともに、日仏両国の研究機関・大学間で学術・技術交流を発展させることを目的とします。

 選考方法、条件についてはこちらをご覧ください。

最終更新日 26/12/2016

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