乾燥地の農業に甚大な被害を与える根寄生雑草の防除法の確立をめざして [fr]

 根寄生雑草はフランスを含む地中海沿岸諸国や、アフリカ諸国などの乾燥地の農業に甚大な被害を与えています。このプロジェクトでは、根寄生雑草の発芽を調べ、その新たな防除法を確立することをめざしました。

 ナント大学のフィリップ・ドラヴォー教授と、大阪府立大学の岡澤敦司教授が、日仏交流促進事業 「SAKURAプログラム」の枠内で実現したプロジェクトを紹介します。本プロジェクトは生物学、医療、保健分野に属し、2年間にわたって助成金が支給されました。

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研究の内容は?

 ハマウツボ科の根寄生雑草が、世界の乾燥地農業に甚大な被害を与えていることから、これまでに多くの研究機関で、その防除法の確立に向けた研究が行われてきました。しかし、現在その被害は低減されておらず、効果的な方法がないのが実情です。

 防除法を科学的に確立するためには、根寄生雑草を科学的に理解し、最も効率的に防除が可能な標的を設定する必要があります。しかし、根寄生雑草の生活環を生化学的に解析している研究グループは少なく、国際的に見てもフランスのナント大学のグループと、日本の大阪府立大学のグループでの研究成果が顕著でした。そこで両グループの知見を集約し、効率的に防除法の開発を行うため、国際共同研究の推進を目的とする本プロジェクトに応募し、採択されるに至りました。

現時点で得られた成果と、今後期待される効果は?

 日仏の両研究グループで根寄生雑草の発芽過程に着目し、日本では主に代謝物の分析を中心技術として、フランスでは遺伝子の解析を中心技術として研究を推進しました。積極的に情報交換を行い、2015 年には植物科学分野のトップジャーナルの一つである「J. Exp. Bot.」誌の同じ号にそれぞれ論文を発表しました。日本側は根寄生雑草の発芽における重要な代謝経路および発芽阻害効果のある化合物の発見について、フランス側は同じく発芽における重要な遺伝子発現の制御機構の発見について報告しました。

 いずれも実用化に向けてはいまだ基礎的な段階ですが、今後も双方で研究を補完し合いながら研究を進めることで、10 年程度の後には、根寄生雑草を制御するための革新的な技術の確立に至る可能性があります。その技術によって、農薬メーカーなどに新市場を提供するとともに、世界の食料増産が期待できます。

SAKURAプログラムによってもたらされたものは?

 これまでにも双方の研究についてはよく認識していましたが、直接情報交換できる場は2年に1回の国際会議の場のみでした。この共同研究を進めることで、より深いレベルで情報交換を行うことが可能となりました。実際、まだ結果となって現れていないものでも、現在行っている研究の計画立案には、このプロジェクトの成果が多大に生かされています。

 加えて、大学院生を参画させることができたため、参加者は研究者としてのキャリア形成の初期の段階で、国際共同研究に参画することで、貴重な体験をすることができました。今後、各自が国際的な視点で研究を進めるにあたり、このプロジェクトでの経験が大いに役に立つと考えています。

SAKURAプログラムについて

 本プログラムは、フランス側は外務・国際開発省と国民教育・高等教育・研究省、日本側は独立行政法人日本学術振興会の支援を得て、若手研究者間の新たな協力を促進するとともに、日仏両国の研究機関・大学間で学術・技術交流を発展させることを目的とします。

最終更新日 27/12/2016

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