作家の村上春樹氏が芸術文化勲章を受章 [fr]

 作家の村上春樹氏が6月7日、ローラン・ピック駐日フランス大使により、芸術文化勲章コマンドゥールに叙されました。

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村上春樹氏とローラン・ピック駐日フランス大使
© 在日フランス大使館

 村上氏は早稲田大学文学部に在学中、ジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店、8年間(1974年から1981年まで)経営しました。その後、執筆活動に専念。日本社会の大勢順応主義に耐えかねて、ギリシャ、イタリア、アメリカに活動拠点を移しました。アメリカでは4年間、プリンストン大学で日本文学を教えました。1995年、阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が発生、日本に帰国することを決意しました。

 村上氏によれば、野球を観戦中に、最初の長編小説『風の歌を聴け』(1979年)を書くことを思い立ったとのことです。この作品から評論家により『鼠三部作』と名づけられた独立した一連の小説群が生まれます。

 ピック駐日フランス大使は日仏交流160周年を迎える今年、村上春樹作品がフランスの読者の間でブームになっていることを改めて指摘しました。世界50カ国語に翻訳され、数百万部が刊行されるなど、村上氏は世界で最も読まれている現代日本作家の1人ですが、表舞台に姿を現すことはめったにありません。フランスでは『1Q84』が刊行されて以来、最も広く読まれている日本人作家です。2017年に日本で刊行された最新作『騎士団長殺し』は今年、フランスでも翻訳出版される予定で、すでに大きな期待を集めています。村上氏は受賞歴も多数あり、中でも読売文学賞、2006年のフランツ・カフカ賞、2009年の社会の中の個人の自由のためのエルサレム賞が挙げられます。

 小説14作品(すべてフランス語に翻訳)のみならず、多くの短編小説や随筆などで構成される膨大な作品群に加えて、スコット・フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの翻訳も手掛けています。村上氏が不思議なリアリズムで紡ぎだす物語は、世界中で高く評価されています。孤独やコミュニケーション不能、自己疎外など、実在主義的なテーマに触れる主人公たちのメランコリックな側面にもかかわらず、作品には詩情とユーモアがあふれています。村上氏は小説で、集合的無意識について書こうとしているのです。

最終更新日 12/06/2018

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