SAKURAプログラム15周年-植物はどのようにして外敵から身を守っているのか? [fr]

 ロレーヌ大学農業環境研究所/フランス国立農学研究所と京都大学生存圏研究所の研究員が、日仏交流促進事業「SAKURAプログラム」の支援を受けて行った共同研究を紹介します。

 植物は外敵からの防御のためにさまざまな毒性化合物を生産します。我々ヒトはこれらの化合物の効能を長きにわたって認識しており、生薬などの伝統医薬にも取り入れてきました。近年の研究の発展により、これらの成分の作用機作については分子・細胞レベルでの理解が進んでいます。中でもかんきつ類などに含まれるフラノクマリン類は人の解毒系に影響を及ぼすことが示されています。例えばグレープフルーツジュースを飲んだ後に薬を服用すると、この解毒系の機能である薬効成分の分解が妨げられるため、薬の効果が過剰に出てしまいます。

 かんきつ類を含む植物種において、フラノクマリン類がどのように作られているのかを理解するためには、その生合成酵素群の遺伝子の特定や機能解析が必須となります。

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 ロレーヌ大学農業環境研究所(LAE)/フランス国立農学研究所(INRA)と京都大学生存圏研究所(RISH)は、フラノクマリン生合成酵素群の解明に向けて、Sakuraプログラムをきっかけに共同研究を始めました。LAEは植物の代謝を専門分野とする一方、RISHはプレニル化酵素ファミリーについて先駆的な研究を行っています。2014年から始まったこの共同研究により論文が3報、ブックチャプター [1]および特許が1件ずつという成果につながりました [2]。現在もこれらに続いて複数の論文の投稿準備を進めています。

 このSakuraプログラムの支援のおかげで、ナンシー市と京都市の間での博士学生の交換留学も行うことができました。さらにこのプログラムの終了後も我々の友好関係は続いており、LAEでは2017年4月から日本人の博士研究員を1名、さらに2018年9月からは博士課程に1名を、ともにRISHより受け入れています。

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SAKURAプログラムについて

 本プログラムは、フランス側はヨーロッパ・外務省と高等教育・研究・イノベーション省、日本側は独立行政法人日本学術振興会の支援を得て、若手研究者間の新たな協力を促進するとともに、日仏両国の研究機関・大学間で学術・技術交流を発展させることを目的とします。

[1Munakata et al (2018) Recent Advances In Polyphenol Research. Vol 6. Edt Springer. Munakata R and al (2016) New Phytologist DOI: 10.1111/nph.13899. Munakata R. and al (2014) Plant Physiology Vol 166, pages 80-90. Karamat F and al (2014) Plant Journal Volume 77, Issue 4, pages: 627–638.

[2Bourgaud, F. and al. A new method for inhibiting production of furanocoumarins in plants. USPTO, 62/120,492.

最終更新日 03/12/2018

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