ブレグジットに関するマクロン大統領のメッセージ「われわれはかつてないほどヨーロッパを必要としています」 [fr]

 2020年2月1日午前零時、70年間で初めて、一つの国がヨーロッパ連合(EU)から離脱しました。

 エマニュエル・マクロン大統領は前日の31日、イギリスのEU離脱(ブレグジット)についてメッセージを発表しました。

エマニュエル・マクロン大統領のブレグジットに関するメッセージ

2020年1月31日、訳文

 親愛なる国民の皆さん、

 本日31日深夜、イギリスがヨーロッパから離脱します。主権者たるイギリス国民が2016年6月、国民投票で決定を下しました。この決定をわれわれは尊重しなければならず、フランスは常にこれを尊重しました。

 この離脱は衝撃です。これは各国に鳴り響き、ヨーロッパ全体の耳に届くとともに、われわれを深慮させるべき歴史的な警報です。というのも70年間で初めて、一つの国がヨーロッパを離れるからです。私は今夜、この投票の理由を蒸し返したくはありません。そもそも私はその立場になく、その役割も持たないからです。しかし私は2016年のキャンペーンがどれほどのうそ、誇張、単純化、約束されても決して届くことがない小切手でできていたかを覚えています。ここでもまた、われわれの民主主義において、うそが何に至らしめ得るかを絶えず思い起こす必要があります。しかしわれわれは自分たちのために、そこから極めて具体的に教訓も引き出さなければなりません。

 私はこのブレグジットがあり得るし、あり得たし、数時間後に実施されることを心の底から信じています。というのも、われわれはあまりにヨーロッパを自分たちの問題のスケープゴートにしすぎたからです。われわれはヨーロッパを十分に変革してこなかったからでもあります。われわれはかつていないほどヨーロッパを必要としています、明晰になろうではありませんか。中国やアメリカに対してわれわれの利益を守るため、より一層ヨーロッパが必要です。気候変動対策を成功させるため、われわれはそれをヨーロッパ・レベルで進める必要があります。われわれは食料を確保するため、移住、デジタル、テクノロジーの大変革にうまく対処するため、より一層ヨーロッパが必要です。ですから私が今夜、ヨーロッパと一層距離を置く、あるいはそこから離脱することで、わが国の未来を築けると言えばうそになります。しかしヨーロッパがより主権を有するように、より民主主義的になるように、市民のより身近な存在に、日常生活の中でよりシンプルな存在になるように、われわれが抜本的に改革しなければ、ヨーロッパが前進し続けることはできないこと、われわれが皆さん全員のため、より明確なヨーロッパ計画を築くことはできないことを私は認識しています。実際、ヨーロッパ離脱願望は今日の困難な問題に対する答えにはなりません。それは誤った答えだと思うからです。ブレグジットは多くの概算と誇張の対象となりました。私は今夜、次の段階がどのようなものか、さらに皆さんに対する直接的な影響について語りたいと思います。

 明日、極めて実際的な面において、イギリスとの関係は何一つ変わりません。2020年を通じて、われわれはいわゆる「移行期間」を過ごします。すなわち旅行も、輸出も、ビジネスも、漁業も以前とまったく同じようにできます。明朝、目が覚めたらルールが違っていて、日常生活に支障をきたすといったことはありません。変化は一つしかありません。それは制度上の変化です。イギリスは明朝からヨーロッパの意思決定に参加しません。それはフランスにとって、追加で5人の議員がヨーロッパ議会の議席を占め、同議会を辞職したイギリス人議員の後任になることを意味します。イギリスに在住するフランス人に対しても、彼らの権利が維持され、保護され、擁護されること、この移行期間中に通常の生活、活動が続けられるようにするルールも、われわれが当然すべて保証したことも申し上げたいと思います。

 私はフランスに在住する、長年の在住者も含め、すべてのイギリス人に対しても、彼らにとって物事が明日変わることはないと申し上げたいと思います。彼らはフランスで生活しています。今日もそうですし、明日もそうです。しかし残念ながら、いくつかの極めて現実的な影響があります。彼らはヨーロッパ市民ではなくなります。フランス市民権を申請しなかった人たちは、例えば次の市町村議会選挙の選挙人名簿に登録されなくなります。とはいえ、これらの影響は極めて限定的です。

 次に将来の関係を準備する必要があります。というのも、われわれは明日の関係をイギリスと築かなければならないからです。それがこれから始まる交渉の目的です。この交渉のために、われわれは27カ国で結束し続けなければなりません。われわれには交渉官がいます。私はこの移行期間中、われわれの利益、すなわち漁業者、農業者、企業経営者、研究者、労働者、学生の利益が維持されることを極めて重要視します。しかし一つの簡潔なルールがあります。われわれがこれからイギリスと築くこのパートナーシップは、可能な限り緊密で、強固で、恒久的なパートナーシップであるよう望むということです。とはいえ、われわれが数十年前から有する関係と同じものではありません。内側と外側に同時にいることはできません。イギリス国民はヨーロッパ連合から離脱することを選択しました。彼らには同じ義務はもうありません、それゆえに同じ権利もありません。

 われわれは今後数カ月間、この新しいパートナーシップについて交渉しなければなりません。私は力強いと同時に厳しいパートナーシップを望んでいます。というのも私は皆さんを保護したい、擁護したい、必要不可欠であるヨーロッパの一体性を守りたいからです。

 しかしこの未来の関係とは別に、フランスとイギリスの間には、われわれが共有する血と自由と勇気と戦闘の長い歴史があります。私はそれも忘れてはいません。だからこそ、われわれの2国間関係は力強くあり続けるのです。われわれは6月18日、ド・ゴール将軍のロンドンでの呼びかけの80周年を祝います。フランス人はイギリス国民から受けた恩を知っていますし、それを決して忘れることはありません。それゆえに防衛、科学、文化の各分野で、われわれは力強い2国間関係を保ち続けます。私はこの関係を守り続けます。私は関係を維持し、強化するため、近くイギリスを訪問します。

 親愛なるフランス国民の皆さん、以上、私が今夜、皆さんに手短に申し上げたかったことです。無用な不安を避けるため、明日変わらないことについて、しかし同時にヨーロッパにおいて根底から変わることについてです。というのも、一つの国がわれわれから離れることを極めて具体的な方法で決め、午前零時に実際にわれわれから離れるからです。

 悲しい日です、それを隠すことはありません。しかしそれは、われわれを違ったやり方で取り組むように導く一日でもあります。皆さんをより一層納得させるとともに、ヨーロッパ連合を唯一無二の冒険、私から見れば掛け替えのない冒険にしているこの歴史の糸を再び見いだすことができる強力かつ効果的なヨーロッパ連合を、さらなる決意をもって築くように導く一日です。

 英仏友好万歳、ヨーロッパ万歳、共和国万歳、フランス万歳。

最終更新日 04/02/2020

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