オランド大統領がアンスティチュ・フランセ東京で記者会見

 フランソワ・オランド大統領は6月8日、東京・新宿区のアンスティチュ・フランセ東京で開かれた記者会見の冒頭で次のように述べました。

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 「皆さま、今般の訪問も終わりに近づいてきました。のちほど、フランス大使館で日本に在住するフランス人にあいさつを行う予定です。今般の国賓訪問にどれほど満足しているか申し上げなければなりません。何よりもまず、我々が受けた歓待があります。私が『我々』と申し上げるとき、それはフランスを指します。

 日本は、天皇陛下、陛下のご家族、安倍総理大臣とともに、このもてなしを通してフランスに友好を表しました。そのことに我々は深い感銘を受けました。この好機をとらえて、我々はフランスと日本のパートナーシップを最上位に位置づけるとともに、新しい側面を与えました。

 何よりもまず外交政策について、我々は国際問題全般に関する定期協議を持つことで合意しました。アジアのみならず、世界全体に関する諸問題です。というのも、フランスと日本はいくつもの優先課題に共に取り組んでいるからです。例えば、後ほど触れますが、最良のグローバル・ガバナンスの枠組みでの経済成長や、環境保護などの課題です。日本は我々が2015年の開催をめざす気候会議に大きな期待を寄せています。我々は開発、最後発国の支援に関しても同じ取り組みを進めています。我々はアフリカとのこの連帯を示していきます。日本は最近、極めて有益な会議を開催したほか、マリ支援国会合にも参加しました。それゆえに、この政治関係に枠組みを与える必要がありました。そのことを我々は具体化しました。

 平和・安全保障問題に関する側面もあります。我々フランスと日本は2つの目標があります。それはすべての国に関係するテロとの闘いです。いかなる国も安全である、保護されていると感じることはできません。日本は特にアルジェリアで発生した人質拘束事件で甚大な打撃を受けました。我々はイランならびに北朝鮮の問題に関して、核拡散防止にも取り組んでいます。

 経済パートナーシップの側面もあります。我々は大きく前進しました。我々は互いの国で投資を拡大する、すなわち対仏日本投資を拡大し、対日フランス投資を促進するために、既存の協力や締結された業務提携が、日本とフランスの2つの経済大国の間でなし得ることの好例となることを証明しました。とりわけヨーロッパと日本との間の貿易協定に関する交渉の開始をはじめ、貿易に関して同じ立場にあります。新市場を獲得するため、あらゆる形の提携や協力を結ぶこともできます。我々は新しい原子炉を共同で設計し、とりわけトルコで成功を収めました。エネルギー分野で可能なことは、デジタルや農産食品業、エレクトロニクスなどの分野でも可能であるに違いありません。すべての分野において、我々はハイレベルな計画を構想できます。

 最後に先ほど触れました、成長のテーマという側面があります。日本ではここ数週間、経済政策をめぐる議論があります。我々はこの議論に参加するつもりはありませんが、今日示された諸説は全世界に有益となり得ます。例えば、まさに活動支援に重点を置くこと、為替のゆがみを生まずに追加流動性を与える貨幣説や競争力の方向で構造改革の構想を持つこと。我々はこれらについて日本政府と議論しましたが、日本もヨーロッパ同様に経済大国であるという、この自覚を我々は歓迎できると思います。これはお集まりいただいた企業経営者の前でも述べたことです。我々は過去の問題や新興国との競争だけにとらわれるのではなく、我々自身に自信を持たなければなりません。ヨーロッパと日本が信頼をより深めれば、海外市場でより大きな位置を占めるでしょう。

 最後に我々が発展を望んでいる文化と人的交流について触れたいと思います。文化はフランスと日本の共通点として、我々はここで例証を示しました。しかし同時に、それは経済の原動力でもあります。というのも、両国の魅力向上に寄与するものはすべて、雇用の拡大につながるからです。文化は精神の向上であるとともに、文化分野においてフランスも有し、日本にも存在する力強い企業による投資でもあります。単に機器の製造だけではなく、コンテンツの製作を通した投資です。課題は文化コンテンツです。我々はこれに日本と共同で取り組むことができます。貿易の拡大を望んだだけになおさらです。我々が移動を円滑にするため、若い学生や企業のクリエーター、研究者、大学教員、文化クリエーターなどの移動性を円滑化するため、ここにいる全閣僚が動員されました。我々は移動に最大限の便宜を図りたいと思います。

 私は今般の訪問を、私が使った言葉、両国関係を特徴づけるべき言葉、すなわち『信頼』で締めくくります。我々は信頼しています、日本を信頼し、ヨーロッパと日本の関係を信頼し、我々の未来を信頼しています」

最終更新日 31/10/2022

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