三宅一生氏がレジオン・ドヌール勲章を受章 [fr]

 世界的ファッションデザイナーの三宅一生氏が3月15日、東京・六本木で行われた「MIYAKE ISSEY展:三宅一生の仕事」の開会式で、フランスのジャック・ラング元文化大臣により、レジオン・ドヌール勲章コマンドゥールに叙されました。

三宅一生氏がレジオン・ドヌール勲章を受章
三宅一生氏がレジオン・ドヌール勲章を受章
デザイナーの三宅一生氏とフランスのジャック・ラング元文化大臣
デザイナーの三宅一生氏とフランスのジャック・ラング元文化大臣

 
 
 

ジャック・ラング元文化大臣の叙勲式におけるあいさつ(東京、2016年3月15日)

 
 
 私と一生氏は、1980年代から今日まで、類まれな友情で結ばれてきました。若くしてミテラン政権の文化大臣に就任し、パリを創造の都として復活させる使命を帯びた私に当初から力を貸してくださったのが三宅一生氏でした。以来、彼との交流が途絶えることはありませんでした。彼は私にとって大切な友人であると同時に、尊敬するクリエイターでもあります。

 一生氏は優しさにあふれ、また王族のような気品が漂っています。生命を愛し、自然と芸術を崇拝しています。彼の作品は彼そのものです。官能的であり、技巧に優れ、真の傑作にしか見られない簡潔さを有しています。

 普遍的でありつつ時代を先取りしている一生氏の作品は、常に驚きと感動と衝撃を与えてくれます。不動なる彫刻のようでもあれば、躍動的でもあります。彼がイサム・ノグチやウィリアム・フォーサイスを敬愛なさっているのもそのためなのでしょう。一生氏のご友人であり天才的な建築家でいらっしゃる安藤忠雄氏と同様、一生氏ご自身も純粋な物の創り手なのです。

 一生氏と時間を共に過ごすたびに、尽きることのない知的好奇心や、世界を見据えるその眼差しなど、彼の隠れた一面を垣間見ることができました。

 しかし、それらの楽しい記憶の中に一つ、胸が締めつけられるような思い出があります。作家の大江健三郎氏にお会いした後、一生氏と一緒に広島を訪れたときのことでした。彼の作品に見られる不滅の光の源が、彼の地が経験した、言葉に絶する悲劇の苦しみの中にあるとわかったのです。

 数年前、今度は福島が悲劇に襲われたとき、素晴らしい女優であり、日本が大好きだった我が娘のヴァレリーは―彼女はあまりに早くこの世を去りましたが―マルグリット・デュラス脚本の「ヒロシマ・モナムール」を友人の太田宏氏とともに静岡で上演しました。一生氏の魂が彼女の中で息づいていたのです。

 最後に、三宅一生氏のお人柄に触れたいと思います。知的創造力と芸術的創造力を発揮すればするほど、彼は謙虚になっていかれました。創造は野心的であっても、自らは謙虚でいらっしゃるのです。傑出した人物の謙虚さをよく表している俳句があるので引用して結びといたします。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」

* * *

 フランスを発つ前に、オランド大統領より「三宅一生氏は、我々が敬愛して止まない日本の宝だ。深く敬意を表していると伝えてくれ」と言いつかりました。
 

最終更新日 17/01/2019

このページのトップへ戻る