日本の若者との懇談会におけるエロー外務・国際開発大臣のあいさつ [fr]

 ジャン=マルク・エロー外務・国際開発大臣は4月12日、日本の各界を代表する若者との懇談会に出席しました。

JPEG - 301.3 kb
ジャン=マルク・エロー外務・国際開発大臣
© 在日フランス大使館

東京、2016年4月12日

 皆さん、こんばんは、

 お集まりの皆さん、親愛なる友人の皆さん、

 今宵、この美しい大使公邸で皆さんとお会いでき、嬉しく思います。大勢の若手クリエーターをはじめ、各界で活躍する若手の皆さんと、今宵、ここ、フランス大使公邸でお会いできて大変嬉しく思います。

 これからフランスについて、フランスが提供できることについてお話します。わが国は確かに日本で良いイメージを持たれています。力強い、ポジティブなイメージですが、まだ補うべき部分があると思います。今夜、皆さんに申し上げたいことは、わが国はフランス企業の活力、創造力、イノベーション力について、コンプレックスを感じることはないということです。それは私たちが日本と共有できる多くの共通点でもあるからです。

 日本と同様に、フランスも科学研究分野で世界最先端を行く国の一つです。私たちはイノベーションで3位、学術論文の影響力で4位、特許出願数で6位です。加えて、ノーベル賞受賞者61人、フィールズ賞受賞者13人、さらにアラン・フィッシャー博士が昨年、遺伝子治療の業績で「日本国際賞」を受賞したことも記憶に新しいところです。最近ではトムソン・ロイターが、独自のランキングでフランスの公的研究機関の活力と質の高さを明らかにしました。とても勇気づけられる結果で、フランスは世界で最も革新的な公的研究機関上位10位内に3機関が入り、全体で見ても国別選出機関数でトップ10に入りました。

 フランスと日本の間で、すでに長年来、日仏の有能な人材の交流を可能にする何かが起きている理由もそこにあります。その何かとは、両国の科学者の間で少しずつ発展してきた個人的な関係に基づく緊密なパートナーシップです。日仏をはじめとする多国籍の研究者が集まるフランス国立科学研究センター(CNRS)の6つの国際共同研究ユニットが、サイバーセキュリティ、感染症対策、高齢化、高性能計算、材料、地球科学など、多岐にわたる分野で活動しています。この知的な強いつながりは、人文社会科学のトマ・ピケティや、つい先日まで東京にいた経済学のジャン・ティロールなど、著名な研究者の最近の来日で改めて明らかになりました。安倍総理大臣が意見を求めた経済学者の一人が、ノーベル経済学賞受賞者のジャン・ティロールだったことを、私たちも極めて誇りに思います。

 以上、フランスには多くの強みがあること、皆さんの期待や願望に応えられる強みがあることを、手短にお話しました。わが国はヨーロッパの中心に位置すると同時に、アフリカのすぐそばに位置していること、特に空港や保健の分野で質の高いインフラや設備が整備されていること、さらに不動産文化財などが要因となって、2万社を超える外国企業がフランスに進出し、雇用を創出しました。

 こうしたフランスの魅力は過去のものではなく、現在の姿でもあります。外国企業による対仏投資では、2015年の投資決定件数が前年比27%増の58件と大幅な伸びを記録しました。日本はフランスにおける雇用創出数でアジア1位、世界5位です。中国が1位だと思われがちですが、実は日本です。フランス企業も日本に際立った関心を寄せています。フランス企業400社以上が日本に進出し、6万人を超える雇用を創出、総売上高は200億ユーロに上ります。対仏直接投資は生産にせよ、研究にせよ、拠点にせよ、企業の戦略的機能の中で行われる点を強調することが重要です。三菱重工業は昨年9月、ヨーロッパ・アフリカ・中東地域の拠点機能をパリに移転すると発表しました。堀場製作所もその一例です。特に医療用をはじめとする各種計測機器の専門メーカーですが、昨年7月にモンペリエに研究開発センターを新設しました。以上、フランスに本格的に進出した2社の具体例です。

 フランスはこれらの投資家をサポートし、フランスに進出するための手続きを簡素化したいと考えています。その対象は大手企業だけではありません。日本においてフランスの革新的なスタートアップ企業を、フランスにおいて日本の若い革新的な企業を支援しています。今夜ご出席いただいている東京のインキュベーター各位のおかげで、フレンチテック東京が昨年10月に開催されたと同時に、日仏イノベーション年が開幕しました。こうした両国の革新的な企業の間の交流は、在日フランス商工会議所のフレンチビジネス大賞2016を受賞した4社や、フランス内外のスタートアップ企業1,000社以上がパリで一堂に会した「市庁舎ハッキング」に日本から招待された4社が示すように、実際に行われていることです。順調に進んでいる具体例をいくつか挙げましたが、日仏相互の創造力が文化面をはじめ、あらゆる方面で発揮されていることは重要だと思います。

 フランスでは昔から日本の才能が花開いています。前世紀初めに藤田嗣治が、1960年代から高田賢三が、1980年代から天児牛大と山海塾が活躍しています。特にダンス芸術をはじめ、音楽や料理など、数多くの有能な人材がフランスに来たいと願う一方、建築家もフランス国内の文化再生を最も象徴する建物の設計で異彩を放っています。ポンピドゥー・センター・メスもそうですし、ルーヴル・ランスもそうですし、パリ市長が打ち出したパリ再開発プロジェクトの公募で選定された意欲的な提案もそうです。他方、フランス人建築家のドミニク・ペローが2015年、高松宮殿下記念世界文化賞建築部門を受賞し、常陸宮殿下から顕彰メダルを授与されました。フランスのアーティストとクリエーターが受賞の栄に浴したこの素晴らしい授賞式に出席できたことは、私たちにとって大きな喜びでした。

 ご存じとは思いますが、これは反対の方向にも言えることで、フランスのアーティストや工芸家も日本に来ることができます。訪れる機会も数多くあり、彼らはそれらをとらえていますが、中でも2014年にリニューアルオープンした京都のヴィラ九条山は日本に滞在し、他のアーティストと交流する絶好の機会で、そうした日仏のアーティストや工芸家との出会いがもたらした多くのプロジェクトとアイデアとともに新たなスタートを切ります。交流は多岐にわたる分野で数多く行われています。デジタルアート、音楽、漫画、アニメ、さらに文化プログラムでも同様です。というのも、クラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・ド・ナント」が今ではフランスのみならず、海外でも広く知られるようになり、日本でも東京のほかに国内4都市で開催されているからです。

 強調したいことが1点ありますが、それはフランス人学生の日本留学と日本人学生のフランス留学です。これは素晴らしいことです。私たちは岸田外務大臣とこの点について触れ、留学生を一層増加させる必要がある、友好国の日本とフランスに留学する若い学生の大幅な増加を促進する具体策を講じる必要があると述べました。数年内に留学生数が大幅に伸びるよう願っています。

 日本とフランスの皆さん、とりわけ若手の皆さん、科学、経済、文学、人文科学、装飾、デザインなど、あらゆる分野において、企業に関するものでも、研究に関するものでも、プロジェクトをお持ちの若手の皆さん、日本の若手の皆さん、日本の皆さん、どうぞフランスにいらしてください。ここ日本で独力で、あるいは日本人と協力して事業を始めたいと考えているフランスの皆さん、「私たちは皆さんの味方です」。ここにいる大使と大使館各部署、フランス貿易投資庁(ビジネス・フランス)、フランス観光開発機構(アトゥー・フランス)、フランス政府留学局(キャンパス・フランス)が皆さんの成功のお手伝いをします。

 皆さん全員のご幸運をお祈りします。日仏友好万歳、日本万歳、フランス万歳。

最終更新日 19/04/2016

このページのトップへ戻る