濱口竜介監督がフランス芸術文化勲章を受章 [fr]

 映画監督の濱口竜介氏が3月28日、フランス大使公邸で行われた叙勲式で、在日フランス大使館のシャルランリ・ブロソー文化参事官により、芸術文化勲章シュヴァリエに叙されました。

濱口竜介監督がフランス芸術文化勲章を受章
濱口竜介監督がフランス芸術文化勲章を受章

 濱口監督は1978年生まれ、東京藝術大学大学院映像研究科を卒業。修了制作作品『PASSION』が2008年、サンセバスチャン映画祭と東京フィルメックスのコンペティション部門に出品され、国際的に認められました。

 フランスでは2015年に『ハッピーアワー』をナント三大陸映画祭に出品して以来、その名声が高まりました。2018年、『寝ても覚めても』をカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品。『ドライブ・マイ・カー』で2021年カンヌ国際映画祭脚本賞、2022年アカデミー賞外国語映画賞を連続受賞し、世界の映画ファンと批評家から高い評価を得ました。

 濱口監督はフランス映画がロベール・ブレッソン、ジャック・ベッケル、ジャン・ルノワールなどの映画作家を通して、自身の作品に与えた大きな影響について明らかにしています。フランスの映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」の創刊者アンドレ・バザンに関する論考も発表しました。フランスの女優イザベル・ユペールの大ファンでもある濱口監督は2021年、東京国際映画祭(TIFF)で彼女と対談しました。

 とはいえ、濱口竜介監督作品に最も色濃く反映されているのは、おそらくエリック・ロメールの作品です。両者には欲望と感情をめぐる問題提起や偶然に対する共通の関心が見られます。「言葉」と「聞くこと」を重んじる映画作家である濱口氏は、チェーホフから村上春樹に至るまで、世界文学の名作を手掛けた仕事でも認められています。さらに創造の自由と文化多様性の擁護者でもあり、とりわけコロナ禍で苦境に立たされた独立系の小規模映画館、いわゆるミニシアターの支援活動に深田晃司監督とともに乗り出したことは記憶に新しいところです。

 芸術文化勲章シュヴァリエを受章した濱口氏は答礼のあいさつで、12歳のときに読んで深い感銘を受けたヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』を挙げつつ、フランス文化に対する強い思い入れを語りました。加えてジャン・ルノワール、エリック・ロメール、ジャン=リュック・ゴダールなど、フランスの偉大な映画作家に対する敬愛の念にも触れました。その上で、フランスの映画支援制度を高く評価し、この仕組みを日本も参考にするよう強く希望しました。

最終更新日 04/01/2024

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