フランス産牡蠣の選び方

Normandes, bretonnes, claires, numéro 0 à 5..., comment choisir vos huîtres ?

JPEG - 359.3 kb
主にブルターニュ地方で養殖される丸く平らなヒラガキ
© Eric Fahmer - Fotolia.com

 ノルマンディー、ブルターニュ、マレンヌ=オレロン、アルカションなど、フランスの牡蠣(かき)主要産地を巡りながら、各地の味の秘密を紹介します。

 牡蠣を選ぶには、いくつか基準があります。

 何よりもまず、「マガキか、ヒラガキか?」。大抵の場合、選択肢は限られます。フランスの牡蠣の98%近くがマガキで、ヒラガキ(丸型)は希少で値段も高めだからです。

 次に「何番か?」。マガキには1番から5番まで、ヒラガキには000番から6番まであります。これは殻の大きさですが、注意が必要です。000番が最大で、6番が最小となります。

 マガキは殻の大きさに加えて、身の大きさで選ぶこともできます。「フィーヌ」と「スペシャル」で、後者が最も肉厚です。

 最後に産地で選びます。いずれの牡蠣産地も、特徴的な味を追求しています。マガキの主要産地はアキテーヌ地方、シャラント=マリティーム県、ヴァンデ県、ブルターニュ地方、ノルマンディー地方などのフランス北西部沿岸、さらにラングドック地方(トー潟)やコルシカ島(ウルビノ潟、ディアナ潟)などの地中海沿岸です。ヒラガキは主にブルターニュ地方で養殖されますが、地中海産もまれに見かけます。

フランスの牡蠣名産地

 

ノルマンディー地方

 ヨードたっぷりで身入りもいいノルマンディー産は、牡蠣好きにはたまりません。中でも身がふっくらとして味わい深いイジニー・スペシャル、クルミの風味で知られるサン=ヴァが最も有名な銘柄です。「プレーヌ・メール」と呼ばれる牡蠣は、コタンタン半島西岸で養殖され、澄んだ海に由来するヨードの香りと芳醇な味わいが特徴です。

 

ブルターニュ地方の北部と南部

 カンカル、サン=ブリユー、モルレ、ラード・ド・ブレストは、マガキとヒラガキの名産地です。特にヒラガキはブルターニュ地方が主産地です。

 モン・サン=ミシェルの正面で養殖されるカンカルは、世界でも一二を争う激しい干満差の海で育ちます。酸素をたっぷり含み、潮の風味が豊かな牡蠣は、身が締まっていながらしなやかな食感です。

 パンポルは湾全体に広がる沖合養殖で生産され、身が「たっぷり」としたおいしい牡蠣です。

 ブルターニュ産で忘れてはならないアヴェン=ブロン、一般にブロンと呼ばれる牡蠣は、フィニステール県南部の3つの河口で生産されます。ここは養殖場というよりも、むしろ最後の熟成を行う特別な養殖池で知られます。満潮で流れ込む海水と、ブルターニュの河川や泉から注ぐ淡水が混ざり合う養殖池で、牡蠣を熟成して仕上げます。

 ブルターニュ地方南部では、キブロンとモルビアン湾の牡蠣が有名で、プランクトンや海藻が豊富で、流れのある水域のおかげで、バランスのとれた滋味豊かな味わいです。

 

イル・ド・レ、ノワールムティエ、サントル=ウエスト

 ベ・ド・ブルヌフやAOC「ヴァンデ=アトランティック」は、ヴァンデ県沿岸のレ島とブルヌフ湾(ポルニック、ボーヴォワール=シュル=メール、ノワールムティエ島で囲まれた湾)が産地です。とても評判の高い牡蠣です。

 

マレンヌ=オレロン

 シャラント川からジロンド川にかけて広がるマレンヌ=オレロン産地は、まさに大西洋に面した牡蠣畑で、フランス牡蠣生産の中心地であり、世界最大の牡蠣養殖地です。「よそにはないマレンヌ=オレロン熟成」牡蠣がこの地方の名物です。

 最終段階でクレールと呼ばれる養殖池で熟成させることで、世界的に名高い牡蠣ができます。これが「フィーヌ・ド・クレール」(マレンヌ=オレロンは身入り指数7以上)や「スペシャル・ド・クレール」の呼称の由来です。クレール熟成とは、牡蠣を水深の浅い海水池に沈めて、最後の仕上げをすることです。マレンヌ=オレロンでは、クレールの大半が天日塩田の跡地で、海水と淡水が絶妙に混ざり合い、フィーヌ・ド・クレールにバランスのよい独特の香りを与えます。

 クレールの水底がフネケイソウ(緑色の珪藻)で覆われているものもあり、牡蠣の体内に取り込まれて、身が美しく色づきます。ヨードたっぷりで極上の「ヴェルト・ド・クレール(クレールの緑牡蠣)」は極めて評価の高い牡蠣です。

 マレンヌ=オレロン産の中でも有名なジラルドーは、特に珍重されています。官能的な肉厚の身は引き締まって歯ごたえがあり、後味を引く逸品です。

 

アルカション(アキテーヌ地方)

 アルカション産地は古代から天然牡蠣の収穫で知られていました。今日ではフランス全国ほとんどの牡蠣産地に種牡蠣(牡蠣の稚貝)を卸す重要な種苗生産地です。

 カップ=フェレの新鮮な野菜や柑橘類を思わせる繊細な香り、バン・ダルガンのミルキーで甘い味わい、イル・デ・ゾワゾーの植物やミネラルの香りなど、特徴が際立つアルカションの牡蠣は、育成期に大量に摂取する質の高いプランクトンと、マレンヌ=オレロンのように最後にクレールで熟成した薄い緑色の身で高い評価を得ています。

最終更新日 15/10/2015

このページのトップへ戻る