科学技術部 [fr]
フランス大使館科学技術部(SST)は、日仏両国の研究者ならびに研究機関のパートナーシップの推進を使命とします。
SSTは日本と同様にフランスの研究所、大学、研究機関、企業、クラスター、高等教育・研究・イノベーション省管轄のすべての機関が、2国間の研究技術協力を始動、または発展できるよう導きます。
科学技術部(SST)では、毎年、日本とフランスの2国間交流をSSTが支援・移動を含めた助成をすることを目的とするプログラムに関するパンフレットを発行しています。
- 研究者支援・助成プログラムについて - 2024年版 (英語)
- (PDF - 1.3 Mb)
SSTは日仏共同研究プロジェクトのための渡航支援事業の一覧(一部のみ掲載)を公開しています。
- 渡航支援事業一覧(英語)
- (PDF - 3.5 Mb)
以下の具体的な活動を通じて支援を行っています。
- 相手国のパートナー機関の特定、話し合いの最初のステップのサポート
- 両国の機関の交流のきっかけとなる学術イベント(セミナーやシンポジウム)の開催
- SSTが担当する分野の公的機関来日の調整(フランス議会科学技術選択評価局など国会議員代表団、フランス国立研究機構などの研究助成機関、フランス国立情報学自動制御研究所などの研究機関、日本に代表事務所を持つフランス国立科学研究センターなど)
SSTの組織図
SSTは科学技術参事官の下、デジタル・材料・工学部門 (NuMSI)と生命科学・医学・環境部門(SEV)で構成されています。
デジタル・材料・工学部門 (NuMSI)
デジタル・材料・工学部門は、フランスと日本が重点的に取り組む3つの分野、すなわちデジタル技術、材料科学、エンジニアリングサイエンスに焦点を当てます。
デジタルテクノロジー
デジタルテクノロジーは、情報学、電気通信、電子工学、ロボット工学など幅広い分野と、これらの分野に関連する、またはこれらの技術を開発する他の分野を包括します。日本は多額の資金をデジタルテクノロジーの研究開発に充てています。内閣府、総合科学技術・イノベーション会議が促進する主要コンセプト、未来の「ソサエティ5.0」のためのハードとソフト面のインフラ配備に対する政府の多くの主導事例からもそのことが分かります。ロボット工学といえば、だれもが日本を思い浮かべるテーマですが、スーパーコンピュータ、人工知能、モノのインターネット、サイバーセキュリティも忘れてはなりません。
科学技術部のデジタル・材料・工学部門内のデジタルテクノロジー分野は、慶應義塾大学、早稲田大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学、東北大学といった日本の主要な大学や、産業技術総合研究所、国立情報学研究所、情報通信研究機構など国立の研究機関、NTT、NEC、ソニー、パナソニック、東芝、シャープなどの企業および在日フランス企業と緊密な関係を保有しています。
これらの機関との関係は、ワークショップやセミナーなどのイベントにより支えられ、発展してきました。ここ数年の主なイベントには、サイバーセキュリティ(2015年より毎年開催)、高性能計算(2014年、2017年、2019年)、第5世代移動通信システム(2016年)、人工知能(2016年、2017年、2018年、2020年 、2022年)をテーマにしたものがあります。この分野の日仏研究者にとって、直接会い意見交換をし、協力関係を深める貴重な機会となっています。
材料科学
材料研究は、世界的な戦略的分野であり、日本もこの分野で数多くの共同プロジェクトを立ち上げ、高い競争力と革新性を維持しています。フランスと日本はスキルも非常に近く、しばしば補完し合う関係にあり、近年は特に研究協力が盛んな例がいくつかあります。
今後の協力関係に有望なテーマとして、石油化学製品の代用となるバイオマス由来材料、エネルギー用材料とエネルギー効率の向上、医療画像用材料、レアメタルの代替と節約、半導体、光学・フォトニクス用材料、ナノマテリアルなどが挙げられます。
この流れの中で、デジタル・材料・工学部門の実施する活動は、これらのテーマに関わる日仏のパートナー間の科学技術協力を促進することを目的とします。特に、フランスや日本が得意とする分野をテーマにした二国間研究訪問やセミナーの開催という形をとることが可能です。一例としては、2021年に第1回アディティブ・マニュファクチャリングに関する日仏ワークショップが開催されました。
生命科学・医学・環境部門(SEV)
本部門は生命科学、医学、海洋学などにかかわる科学活動全般を担います。
生命科学と医学
生命科学は日本のイノベーションにおける優先分野の一つであり、経済発展と特に社会変容のベクトルの一つとして認識されています。日本は65歳以上の人口比率が世界で最も高い国です。健康寿命を延ばすことは当国にとって重要な関心事です。
再生医療やオーダーメイド治療の発展、新興・再興感染症との闘い、老化や生活習慣に関わる疾患(アルツハイマー、がんなど) は、日本政府の戦略的な投資対象です。特に感染症やがん研究は生命科学分野における日仏協力の歴史的な軸だといえます。
海洋学
海洋学における協力は日仏2国間において最も古く最も強固な科学協力の一つといえます。日仏協力が始まったのは、フランスの深海調査船(バスカチーフ)アルシメード号が千島海溝に潜水した1950年代の終わりのことでした。1975年からは海洋発展を目的とする日仏海洋専門部会が開催され、2年ごとに日本とフランスで交互に両国の専門家が集っています。
当初からの協力テーマ(水産養殖、 スキューバ・ダイビング、多金属ノジュール) に加えて、現在は海洋観測、海洋技術とインフラ、生物資源、深海と沿岸のエコシステムなどへも広がっています。
生命科学・医学・海洋学部門は、人の生命や幸福に直接影響しうる当該分野における科学技術情報ウォッチングと時事問題のフォローアップにも努めています。そのためにも公衆衛生、生物多様性、生命倫理、海洋資源の運用、深海開発などに関する日本の状況をしっかりと理解することが重要です。