北里大学の大村智名誉教授がレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章 [fr]

北里大学の大村智名誉教授が10月17日、フランス大使公邸で行われた叙勲式で、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエに叙されました。

北里研究所名誉理事で北里大学名誉教授の大村智氏は、40年を超える研究生活を自然界の微生物に含まれる活性化合物の研究に捧げました。大村名誉教授らが開発したイベルメクチンは、オンコセルカ症やリンパ系フィラリア症(象皮症)の特効薬として、フランス政府および世界保健機構(WHO)の主導でフランス語圏の西アフリカ諸国に無償供与され、後に世界中に普及し、難病の根絶に希望の光をもたらしました。

大村教授はこうした研究活動とその応用によって、フランス語圏アフリカをはじめとする感染地域の公衆衛生と発展に極めて重要な役割を果たした理由から、1992年に国家功労賞シュヴァリエを受章しました。

大村教授はフランス科学アカデミーの外国人会員として、同アカデミーと科学分野における緊密な関係を維持すると同時に、日仏両国間の科学・文化交流の発展に尽力しています。

優秀な化学者であるばかりでなく、芸術にも極めて造詣が深く、そのメセナ活動は広く知られています。日本で最も歴史ある女子美術大学の理事長として、芸術教育の前進にも力を注いでいます。

大村教授は1999年、若手芸術家の教育振興を目的に女子美パリ賞を、私財を投じて設立しました。毎年30人を超える応募者から選考される受賞者1名に、パリの国際芸術都市で研究生活を送るための奨学金が授与されます。現在、受賞者は10人を数え、全員が日本やフランスで芸術家として活躍中です。

芸術と科学の相互効用に関する新解釈でも草分け的な存在で、病院内に芸術作品を飾ったり、患者や病院職員のためにコンサートを開くなど、心身の回復を促す環境づくりを進めました。こうした考えはフランスでも小児病院をはじめとして広く応用されています。

最終更新日 17/01/2019

このページのトップへ戻る