建築家の妹島和世氏が芸術文化勲章を受章 [fr]

 建築家の妹島和世氏が4月20日、フランス大使公邸で行われた叙勲式で、芸術文化勲章オフィシエに叙されました。

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建築家の妹島和世氏 © Ambassade de France au Japon

 妹島氏は1981年に伊藤豊雄建築設計事務所に入社、1987年に妹島和世建築設計事務所を設立し、独立しました。新日本建築家協会新人賞(1992年)をはじめ、複数の賞を受賞。1995年に建築家の西沢立衛氏とSANAA(Sejima And Nishizawa And Associates)を設立。ミニマリズム、洗練性、細部に至る高い完成度を特徴とするその作風がたちまち注目を集めました。妹島氏が手がける建築物は、いずれもこれらの特徴が貫かれています。

 妹島氏はアジア、ヨーロッパ、アメリカなど、世界中で美術館の設計を手がけています。代表作にはスペインのバレンシア近代美術館、長野県の小笠原資料館、金沢21世紀美術館、ニューヨークのニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アートなどがあります。特筆すべきプロジェクトとして、2012年開館予定のルーヴル美術館ランス別館があります。さらに瀬戸内海に浮かぶ現代アートの島、直島の玄関口である海の駅なおしまもデザインしました。

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妹島和世氏とフィリップ・フォール駐日フランス大使 © Ambassade de France au Japon

 その作品は美術館だけにとどまらず、住宅やディオール表参道のような商業ビルにも及びます。次期プロジェクトの舞台はパリで、LVMHグループが所有する老舗百貨店ラ・サマリテーヌの改修工事を担当します。総面積6万7,000m2で、住宅、託児所、店舗、ホテルなどが入る予定です。

 妹島氏は今年8月29日に開幕するヴェネチア・ビエンナーレ建築展の総合ディレクターを務めます。今回のビエンナーレのために選んだテーマ「建築の中で人々が集う」は、彼女の建築哲学を反映しています。それは人と人とのつながりを生む場所、都市空間に意味を与えるような出会いの場所をつくることです。このビエンナーレのテーマには彼女の全作品と同じように、その信条である「人々が使って楽しい建築の創造」が顕著に表れています。

 妹島氏は建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞に選ばれたばかりで、数週間後にニューヨークで開催される授賞式に出席する予定です。

最終更新日 17/01/2019

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